H A C C Pの考え方を取り入れた衛生管理

小規模事業者向け「H A C C Pの考え方を取り入れた衛生管理〜計画の作成と記録方法のポイント〜」に参加しました。

(主催 北海道保健福祉部健康安全局食品衛生課、

講師 公益社団法人日本食品衛生協会公益事業部HACCP事業課 岡本愛さん)


セミナー概要

1. HACCPの制度化の背景と概要

2. 小規模な一般飲食店を例にした衛生管理計画の作成と実施記録の記入方法(業種を問わず一般的な衛生管理、食品の温度管理について)

3. 他業種の手引書の一部紹介

以下、画像は本手引書より引用しました。



講演内容まとめ

1. HACCP制度化の背景と概要

制度化の背景は、食中毒の発生状況が下げ止まっていること。高齢者人口割合の増加=ハイリスク人口の増加。国際水準に追いつくため。

HACCPは新しい管理を求めるものではなく、これまでの衛生管理を整理し見える化をするもの。

小規模事業場(従事する者の数が50人未満)は、各業界団体が作成する手引書を参考にして簡略化されたアプローチをする。

手順は、

①基準に基づき衛生管理計画を作成(従事者に周知徹底、必要に応じて手順書を作成)、

②衛生管理の実施、

③実施状況を記録・保存、

④定期的に見直し。


2. 小規模な一般飲食店を例にした衛生管理計画の作成と実施記録の記入方法(業種を問わず一般的な衛生管理、食品の温度管理について)

予防3原則「つけない、ふやさない、やっつける」がポイントで、メニューや製品、業種によってどこがポイントになるかが変わる。

一般的衛生管理(全業種共通)のポイントは

①原材料の受け入れ、

②冷蔵・冷凍庫の温度の確認、

③交差汚染・二次汚染の防止(器具頭の洗浄・消毒・殺菌、トイレの洗浄・消毒)、

④従業員の健康管理・衛生的作業着の着用など(手洗いを含む)。

これらについて、「なぜ必要なのか」「いつ」「どのように」管理し、「問題があったときはどうするか」の対応を決める。(P R P)

 衛生管理計画作成の実習 一般的衛生管理について、計画表(様式あり)に記入。

(一般飲食店を例に)温度管理が必要な理由は、危険温度帯(10〜60℃)では有害微生物が増殖するため。いかに短時間で冷却または加熱し提供するかが重要。

一般飲食店では、温度管理を重要管理ポイント(CCP)とし、温度管理の方法によってメニューを3分類する。

 第1グループ:非加熱(刺身等)

 第2グループ:加熱する(ステーキ、ライス等)

 第3グループ:加熱後冷却し再加熱、または加熱後冷却(カレー、ポテトサラダ等)

*他業種では重要管理ポイントが異なる(食肉製品・牛乳乳飲料製造は加熱殺菌、食肉処理業では一般衛生管理のみ)。


 衛生管理計画(重要管理のポイント)作成の実習 メニューを分類し、加熱・冷却のチェック方法(モニタリング方法)を考え表に記入(様式あり)。

フローダイアグラムの作成はなし。製造業ではフローダイアグラムを作成すると工程が整理しやすいと紹介。

記録の必要性について解説。

 衛生管理のポイントの明確化

 食中毒の未然防止とともに問題発生時に衛生管理をしていた証拠となる

 業務の改善点を自覚、効率化に繋がる

記録を取らない・虚偽の記録をすることによって、衛生管理の改善ができない、食中毒発生時に自分を守る証拠がない、内部通報され信頼低下のリスクがある。


衛生管理の記録表は雛形あり。

記入欄は以下の通り。

 良/否の丸付け、または温度の数値記録で各管理項目をチェック(モニタリング)

 チェック者のサイン

 特記事項(逸脱・修正・是正の記録)

 確認者(検証)

定期的に振り返りを行うことを推奨。

記録の保管は1年程度(賞味期限によっては長くなる)。

保健所の食品衛生監視員から提示を求められた場合は対応する。(できていなくても怒られないので安心して、と説明)

まずは手引書の雛形通りに実践し、普段行っていることをそのまま書く、正直に記録する、徐々に記録付けの習慣をつけるようにアドバイスあり。


3. 他業種の手引書の一部紹介

他業種(菓子製造・漬物製造・惣菜製造・生めん類製造)の記録様式紹介。厚生労働省H Pから各業種の手引書がダウンロード可能。現在57業種あり随時追加される。


日本食品衛生協会のホームページでEラーニング受講可能(3月まで無料、4月からは有料の可能性あり)

感想

今回セミナーで例示されたのは飲食店向けの手引書でしたが、

P R PやCCPをあらかじめ提示する、

雛形の記入欄を埋めていくことで計画が作成できる、

チェックリスト方式にするなど、

事業者が始めやすいようによく考えられていました。

簡略化はされていますが、HACCPの原則1〜7がスマートに詰め込まれていました。

管理自体を今と大きく変えるのではなく、管理手順を可視化し記録をつけることに重点が置かれています。

「何をしたらいいの?」と不安や疑問を抱いている事業者さんには、まずご自分に合った手引書をダウンロードし読んでみることをお勧めします。

参考までに、畜産関係業種の手引書の概略を記載します。

いずれの手引書も計画書・記録表の雛形や記入例があるため、それをベースに記入していけば難しくないと思います。


 牛乳・乳飲料製造:飲食店よりも詳しく、フローダイアグラム作成や危害要因分析も行うHACCPの7原則12手順に基づいた内容です。

 ソフトクリーム販売:CCPはなく、一般衛生管理について計画書を作り記録をつける、手順書を作るといった内容です。

 食肉処理業:CCPはなく一般衛生管理について計画書を作り記録をつける、手順書を作るといった内容です。

 食肉販売業:食肉処理業と同様ですが、惣菜販売もしている場合は重要管理として飲食店と同じ温度管理が加わります。

 ハム・ソーセージ・ベーコン製造:一般衛生管理計画と重要管理点の衛生管理計画を雛形に記入し記録をつける内容です。

なつみの連絡ノート

北海道、十勝の芽室町で 3人の男児の母と獣医師をしています。 獣医の仕事や、 子どもたちとの生活について などを綴ります。 読んでくれた方と、連絡ノートのように お話をしていけたらいいなと思います。

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