HACCP義務化対応セミナー復習

6/28、北見市商工会議所主催の

「HACCP義務化対応セミナー」に参加してきました。

復習のためアウトプットします。


食品衛生法改正


法改正の理由:

食を取り巻く環境の変化・国際化に対応し

食品の安全確保のため。

(今回は改正の一部について解説)


・環境変化

調理食品・外食・中食の需要が増えた。

食中毒発生件数・患者数の下げ止まり。

輸出:日本は先進国で唯一HACCPを制度化していなかったため、

相手国の衛生水準に合わせる国際ルールから輸出の障害となっている。

輸入:自国で制度化していない基準を他国に要求はできないため、

安全性の低い食品が輸入される恐れがある。


・食中毒対応の広域化

食中毒発生時、自治体ごとに連携が取れず対応が遅かった。

(事例:2017年ポテトサラダのO-157食中毒)

広域での連携を強化し迅速に原因食品・施設を特定する。

2019年4月よりすでに開始。


・HACCPに沿った衛生管理の制度化

原則として全ての食品事業者が対象。

施行期日は令和2年6月。

要求レベルが2種類ある。

「HACCPに基づく衛生管理」

(がっちり、大規模食品工場やと畜場)

「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」

(簡略バージョン、小規模、調理して同じ建物で小売、飲食店や弁当製造など)


ステップアップしても良い。

最高レベルは対EU、米国等輸出対応。


今回の制度化において、認証の取得は不要

(よく誤解されている)


制度化の狙い:

衛生管理の基準を平準化

(自治体間で差があった)

食品衛生監視員の指導方法を平準化

(人によって差があった)

民間認証(JFS、FSSC22000等)の規準と整合化

(国際的に通用しない日本独自の基準があった)

業界団体で手引書を作成し、監視指導を平準化

衛生管理計画や記録を文書で確認することで立入検査を効率化



・食品リコール情報報告制度の創設

営業車が自主回収を行う場合に、行政への届け出を義務付ける。


事業者がしなければならないこと


1・コーデックスHACCPに沿った「衛生管理計画」を作る

2・「施設ごと」に危害要因分析を行う(複数店舗があったらそれぞれ実施)

3・「計画通りに運用」する(記録と確認)


衛生的に優れた食品を製造するために必要な3要素

危害を

・持ち込ませない(安全な原料を選ぶ)

・つけない、増やさない(清潔で衛生的な作業環境を確保、一般衛生管理プログラム)

・なくす(食品そのものの取り扱いにより危害要因の発生を極力抑える、HACCPシステム)


一般衛生管理ができていれば防げた事例(上記の3要素全てできていなかった)

平成24年、白菜切り漬けによるO157集団食中毒事故


衛生管理計画の取り組みの参考

管理運営規準のガイドライン


衛生管理計画



業界団体の作った手引書に沿って衛生管理を文書化=見える化する。


・やることを文書化、

(いつ、どのように管理するか)

・やったことを記録、

(他者が見てもわかるように)

・問題があったときの対応を事前に決めておく。

(問題があったときの対応とその記録が重要)

どのように記録するかは事業者が決めて良い。

何でもかんでも記録しなくても良い。


ハザード分析(危害要因分析)


消費者の健康を害する要因を分析する。

危害は3つに分類される。

(生物的、化学的、物理的)

危害はヒト、原材料、環境からくる。

原則1

各工程ごとに、

・持ち込む要因

・つける要因

・増やす要因

・なくすための管理

を考え、どうやって管理するか決める。


がっちりHACCPの事業者は、

アイテムごとにハザード分析をする。


小規模飲食店などは、

メニューをグループ分けして分析しても良い。

・グループ1 非加熱(刺身、リーフサラダなど)

・グループ2 加熱しそのまま提供(ステーキ、唐揚げ、ご飯など)

・グループ3 加熱後冷却し再加熱または加熱後冷却(カレー、ポテトサラダなど)



原則2

重要管理点(CCP)の設定

→ここの工程以降は安全性のコントロールができない工程



原則3

管理基準(CL)の設定

→危害要因がコントロールされていることを示す数値、指標

科学的根拠に基づいた加熱温度・時間など。

製造条件で管理し、連続的にモニタリングする。

モニタリングする機器の検証も必要。

見た目や匂いなども基準にできるが、誰でも再現可能か注意。

モニタリング担当者の教育が重要。



原則4

モニタリング方法の設定

→管理基準からの逸脱が起きたか、起きそうか継続的に監視する

CCPのコントロールを行い、正確に記録する。



原則5

改善措置の設定

→管理基準から逸脱した時に、すぐに対応するためにあらかじめ手順を決める

基準外の製品をラインから排除し、工程を元の状態に戻す。

HACCPシステム最大の特徴。



原則6

検証方法の設定

→衛生管理が「科学的に正しい」か、「やると決めたことをやっている」か判定



原則7

記録と保存方法の設定

→工程管理が計画通りに実施された証拠

記録があることで第3者が食品の安全性を評価できる。



ハザード分析をすると・・・

作業が整理整頓され、効率的・効果的に運用できる。

取り組む衛生管理が明確になり、従業員教育にも役立つ。

HACCPはまずはソフト面で取り組む。

ソフトで対応できない、労力がかかりすぎる部分をカバーするのがハード面(施設・設備)。

継続して改善することで、どんどん現場が良くなっていく。



コンサルタント事業について

講師の方は、食品衛生コンサルタントの企業の方なので

食品衛生コンサル業のことについても少しお話を伺いました。


・個人の食品衛生コンサルタントは、企業退職後などの方が

経験を生かしてやっているケースは多い。

ただ、最近は大きな企業では自社で衛生管理の人材を持つようになり

コンサルが入るケースが減っている。

小規模事業者にはコンサルに使う資金がない場合が多く、

開業する場合は顧客との関わり方に工夫が必要。


・農場と食品、両方やるのであれば6次産業化する農場の需要があるのではないか。

農場との繋がりをいかに作れるかがポイントであろう。


・EUでは一次産業にもHACCPが義務付けられているが、

日本ではすぐにそこまで広げる動きはないだろう。


・キュー・アンド・シー社ではGAPのコンサルティングも行なっているが、

JAなど団体単位でのコンサルが主。

農場単位ではやっていない。



















なつみの連絡ノート

北海道、十勝の芽室町で 3人の男児の母と獣医師をしています。 獣医の仕事や、 子どもたちとの生活について などを綴ります。 読んでくれた方と、連絡ノートのように お話をしていけたらいいなと思います。

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