キャリアの軸は「自分」

開業してから、女性のキャリアについてご相談を受けることが何回かありました。

「今の働き方でいいのだろうか、
新しい道に踏み出すにはどうしたら良いのだろうか、
それとも留まった方が良いのだろうか」
自分のことや家族のこと、
まだ見ぬ未来のことを考えて不安や戸惑いを覚えていらっしゃるようでした。

私も、この悩みにとても覚えがあります。
前職でモヤモヤしていた頃から、起業について考え始め退職を決意するまで、
そして退職して起業してからさえも同じような悩みを抱えていました。

私が思い切って起業に踏み出してみた今、
あのモヤモヤの渦中にいたときにやっていて良かったなと思う事は、
ひたすら自分という人物を掘り下げていくことです。
あのモヤモヤ期に私は、
人生のモットーを「自分らしく楽しく生きる」とノートに書き出しました。
では、自分らしいとは一体何なのか?と改めて問うと、
他でもない自分のことなのに、
よく分からないことに気づきました。
情けないことに、「起業したいなぁ」というなんとなくの希望はあっても、
実際に行動に移すとなると
自分が一体何をしたいのかがわからなくなってしまったためです。

獣医の資格は確かにある。
畜産の現場は大好きだ。
でも、それだけにこだわるのは何か違う気がする。
子育ての経験から、子どもに関する課題を解決することもしてみたい。
でも、それだけが私の本質ではないような気がする。
でもその本質が何かと言うとさっぱりわからない、と言う混乱状態でした。
おまけに、その本質を活かして自立して生活できるほどの収入源にするとなると、
全くの未体験ゾーンです。
考えはさっぱりまとまりませんでした。

そこで、まずは自分を知ることから始めました。
自分が生まれてから今まで
・どんなものが好き
・どんなものが嫌い
・どんなことに喜びを得たか
・苦にならなかったことは何か
ということを、思い出して言葉にしたり、
他の人と比べたりと、色々な角度から考えました。
コーチングや、キャリアについてのセミナー、自己分析のワーク等を経て、自分の性質に「名前」がついてくると、
だんだんと自分がどういう人間かという輪郭がはっきりしてきました。
そしてその自分が、
この先どのような人間でいたいのかを軸にして
それに適した仕事を実現可能性の面から考えてきました。

例えば私は、新しい知識を取り入れる時や、これという目標が決まると
強い行動力が湧いてくると言う性質があります。
コンサルタントの仕事は、取り入れた知識をわかりやすく教えたり、
目標達成のために支援したりする仕事です。
これは、私の性質に適していると納得しました。

なんとなく自分というものがわかってきても、本当にこれで良いのかな?という不安はなかなか拭えません。
自己分析の次は、少しずつ、考えた仕事について行動してみました。
行動してみると、自分に足りないものが見えてきますし、情報もさらに集まってきます。
その情報や人のつながり、自分の感じた思いを総合して、進む道を考えました。
試してみたものをさらに進化させていくのか、
それとも方向の修正をするのかを考えていきます。
例えば、親子カフェ。
親子でのんびりできる場を作りたい、と思い週1回の営業をやってみました。
カフェ運営は楽しかったのですが、
私はお客様の居心地を良くすることよりも、「いかにうまくシステム化するか」ということに考えが偏っていくのに気付きました。
新型コロナの流行も一つのきっかけでしたが、半年間実際にカフェをやってみて、
自分との相性が(自分の仕事にするには)そんなに良くないと腑に落ちました。

行動する前段階で、色々と検索して分析して考え込んで、
という時期は、苦しかったです。
なぜなら、考えても考えても結局答えが出ないから。
目の前の現実が何も動かないから。
私にとっては、リスクを少なく取り、できる範囲の事からすぐに始めて、
おおまかな目標を立てながらも、
その時の流れやピンと来たことに乗ってみると言うやり方が合っていました。

資格を取ったり、起業したり、お金を得ると言う事はただのツールです。
それを使って何をしたいかということが自分の中で明確でなければ、
ツールに自分の生き方を合わせるという本末転倒なことになってしまいます。

ちょっと話は飛びますが、人はみんな必ず死にます。
それは何十年も先かもしれないし、もしかしたら次の瞬間かもしれません。
その時に、「あの時あれをやっておけば」と思いたくないし、
「この人生を味わい尽くした」と思ってから死にたいと、私は思っています。


今、モヤモヤグルグルの中にいる方、
踏み出したけれども振り子のように不安とワクワクを繰り返している方へ。

きっと、私もあなたもずっとその繰り返しです。
だから、どうせなら自分が楽しい方へ行きましょう。
自分の心の声にしっかり耳を澄まして、自分らしく生きましょう。
一人じゃないよ、頑張ろう!

なつみの連絡ノート

北海道、十勝の芽室町で 3人の男児の母と獣医師をしています。 獣医の仕事や、 子どもたちとの生活について などを綴ります。 読んでくれた方と、連絡ノートのように お話をしていけたらいいなと思います。

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